人間は動物に勝てるのか?

野生生物におびえて暮らしていた原始時代と異なり、今や人間は空を飛び、地上を時速200キロメートル以上で移動し、海の上も水中も移動できる手段を持っており、頑丈な住居に、指一本で鉛の玉を発射できる武器、ボタン一つで一つの町を消すことのできる兵器などもあって、日常生活の中では(都市部であれば)野生生物に対して恐怖をあまり感じることなく、むしろ地球上の生物の頂点にいるといわんばかりに我が物顔で暮らしていますが、そんな私達人間もひとたび彼ら野生生物のテリトリーに入ってしまえば、原始時代に戻ったかのように野生生物に恐怖を感じて過ごさなくてはなりません。

そう、今更の話ではありますが、道具や武器や兵器を持っていればまだしも、生身であれば「ヒト」は物理的な力、筋力、持久力、耐久力、走力、泳力などにおいて動物界の中ではヒエラルキーの随分と下にいってしまうのです。

普段の生活の中で、猟師さんや森林関係の仕事をしている人、山菜やきのこをよく採りに行く人などを除いて、特に都市部に暮らしている人であれば、日常的に野生生物に出会う経験などない人がほとんどかと思いますが、山の中や海の中で野生の生き物に遭遇したことのある方なら、その野生の力、恐怖を感じたことがある方もいるでしょう。

こちらに危害を加えてこないであろう可能性の高い草食動物であっても、その体の大きさや野生の生命力みたいなものに圧倒され、此方の身体には独特の緊張感が走ります。ましてや雑食性の動物や肉食性の動物であったなら。

筆者は幸いにも山の中では、クマに会ったことはなく、国内外の山中で遭遇した・見かけたことがあるのは、シカ、カモシカ、サル、ヒヒ、イノシシ、キツネ、タヌキ、野犬くらいなものですが、それでも十分に緊張しましたし、野犬やヒヒに遭遇した時にはかなりの恐怖を感じました。それがもし、クマやトラ、コモドオオトカゲ、オオカミなどに出会ったら、と想像するだけでも、「ぞっ」としてしまいます。

今日の記事のタイトルである「人間は動物に勝てるのか?」という命題がそもそも異なる文脈において異なる意味を持ち得ますし、ある意味ナンセンスな問いかもしれません。

武器や兵器を使えば勝てますし、生身なら負けてしまいます。そもそも自然界での捕食者と被食者の関係(※)にもなければ縄張り争いやメスの取り合いをするわけでもないので本来的には戦う意味もあまりありません。(※これに関しては、クマやサメなど、あちらが人間を「食べようとする」状況はあり得ますが・・・。)

当然種類や数、体の大きさなどにもよって変わってきます。それは動物同士でも同じことです。いくらクマが強いからといってコグマであれば犬が何匹かいればやられてしまうでしょう。

というわけでかなりナンセンスではありますが、「人間は動物に勝てるのか」、条件ごとにみてみましょう。

物理的な強さ 能力

物理的な力において、多くの動物は人間を上回ります。例えば、ライオンやゴリラ、ゾウ、サイ、カバなどの大型の動物、とくにライオンなどの猛獣や、特定の能力に優れた動物(チーターの速さ、鳥類の飛行能力など)は、人間が生身の状態で直接対決した場合、比較にすらならないほど、圧倒的に人間は負け、動物たちが勝つでしょう。

草食動物であっても牛やバッファロー、エルクなど、大型の草食動物であれば、いやインパラなどの中型の草食動物であっても負けてしまうかもしれません。当然、走る、跳ぶ、飛ぶなどに関しても人間は圧倒的に負けてしまう可能性が高いですね。(カメなどを除きます。)

参考までに一番早い動物、力の強い動物などの例を挙げてみます。

一番早い動物

地上:チーター それほど長い時間維持することはできないものの、トップスピードは時速100~110キロメートルに達するといわれます。

空中:ハヤブサ 狩りをする際の急降下時に最大で時速390キロメートル近くまで達するといわれます。

水中:シャチ  時速60キロメートル、最大でトップスピードが時速80キロメートルに達する場合もあるといわれます。

一番力の強い動物

筋力(絶対的):ゾウ 300キログラム~350キログラム程度であれば持ち上げられる力を持ちます。

筋力(相対的):オハリアリ 自分の体重の約20倍~50倍もの重さのものを持ち上げることができるといわれます。体そのものは小さいながらも驚異的な数値で、ゾウの体重に合わせると100トンもの重さのものを持ち上げることができる計算になります! 

知能と技術

一方で、当然といえば当然ながら、人間のフィールドである、知能と技術の面では人間は他の動物よりも優れていますね。

言語、抽象的思考、複雑な道具・工具・機器・機械の使用、科学技術の発明、発見、開発、研究、発展など、様々な能力によって人間は自然界の他の生物に対して圧倒的な優位性を持つようになりました。多種多様な道具や機械、技術を用いることで、野生動物におびえていたであろう原始時代から、現代に至るまで生き延びてきたといえるでしょう。そうして表向きは多くの動物を「支配」するような立場になったのです。

環境への適応

環境適応能力に関しても、人間は特異な存在です。これも結局は私たちが発明、発見した技術や道具、服などを用いることで、様々な環境に対応できるからです。深海や溶岩の中などを除く、酷暑から極寒の地域まで、地球上の様々な環境に適応し、生存することができます。

他の動物はそれぞれ特定の生息環境に適応していますが、その生息環境を出てしまった場合、人間ほど広範囲にわたって適応する能力は持ちません。しかし、一方で高温下に生息する生き物や深海のものすごい水圧下でも生息する生き物がいるなど、人間が道具をもってしても適応できない環境下に暮らす生き物たちも存在します。

環境への影響

人間の活動は地球環境に大きな影響を及ぼしています。これは、人間が他のどの生物種よりも大きな影響力を持っていることを示しています。しかし、この影響は必ずしも肯定的なものではなく、気候変動、生物多様性の損失、環境汚染など、多くの環境問題を引き起こしています。影響を与えるほどの力を持っているからといって、イコール「勝っている」ということにはならないということですね。むしろ人間がいるからこそ、環境の問題が大きく、また酷くなっていることは否めません。

まとめ

「勝つ」という概念を、物理的な強さ、知能、技術、環境適応能力など、多角的な視点で考えると、人間は他の動物と比較してある特定の面では優れてはいるものの、すべての面で勝っている訳では決してないことがわかります。人間の強みは、複雑な思考、言語、道具の開発と使用、科学技術の発明と進歩など、他の生物にはない「進化していく」という独自の能力にありますが、肉体的には進化することが中々できないため、生き物に負けている側面が沢山あるといえるでしょう。

それはともかく、こうして改めて人間と他の生き物を比べてみると、今までに見えなかったことが見えて興味深いですね。人間は、様々な生き物の生態や体の仕組みなどを観察し、研究し、そしてあらたな技術や製品を開発している面もあります。良くも悪くも他の生物たちに大きな影響を与えるのも人間ですし、またそれらを変えていくこともできるのも人間です。「良い形で共存」していく、それがなによりですね。

めだかニュース編集部

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