「野生動物」というと自然の中で暮らしている印象がありますが、都市部にも様々な「野生動物」が暮らしています。それらは例えばタヌキのように、本来ならば自然の中で暮らしていたものの、ヒトが山を切り崩し田畑をつぶして住宅を作り、野生動物たちの生息エリアまで進出した結果、混在するようになったケースのほか、ネズミやカラスなどのように、都市部にはエサとなるものが豊富にあったためにその数を増やし、いつのまにか当たり前に都市部に生息するようになった生き物たちもいます。
これらの動物たちは、人間の活動がもたらす変化に対応しながら、都市環境の中で生息することに適応しているのです。彼らは主に都市の緑地、公園、水辺、植え込みなどのほか、ビル街や地下などでも生活しています。
ドブネズミなどのように病気を媒介する可能性のある生き物は、人間としてはあまり歓迎したくはないものの、中世のヨーロッパの町の歴史を見てもわかるように、もう何百年も(もしくはそれ以上の長きにわたり)人間と「共生」している状況になっているのは皆さんがご存じの通り。野良猫、鳩、カラスなども都市部ではなじみの動物でしょうか。
というわけで都市でよく見られるいくつかの野生動物を紹介しましょう。都市部に暮らしている人たちにとってみれば、今更珍しいものではなく、日々当たり前のように見かける生き物もいますが、例えばアメリカでは住宅街にアライグマが出没するケースがあったり、ロンドンでは公園に普通にリスが暮らしているなど、日本ではあまり見かけない野生動物も含まれます。
ハト:
都市部で最も一般的な鳥の一つ。公園や建物の周りで群れをなして生活しています。マンションなどで巣を作っているケースも少なくありません。
リス:
木々が多い地域や公園でよく見られ、木登りなどをしています。ロンドンの公園ではベンチに座っていると足元までやってくることもあります。
カラス:
都市部では非常に一般的な鳥。知能が高く、様々な環境に適応する能力を持っています。
ネズミ:
都市部の下水道や建物内で見られ、夜行性で食物の残骸を探して生活しています。地下鉄や夜の繁華街で見かけることも多いですね。
アライグマ:
一部の都市部では、アライグマがゴミ箱を物色しているのを見ることがあります。
キツネ:
北海道の郊外や都市部の一部地域で見られ、夜間に活動することが多いです。
カモ:
都市部の池や川でよく見られ、水辺の環境に適応しています。公園でもよく見かけますね。
コウモリ:
知らない人も結構いるようですが、コウモリたちは意外に都市部にも多く生息しています。飛び方が明らかに鳥と違うのでわかります。夕方から夜にかけて都市部の空を飛び回ることがあります。
野良猫:
都市部では野良猫を見かけることがよくあります。彼らは人間の活動によってもたらされる食物資源を利用して生活しています。
ハクビシン:
一部の都市部では、屋根裏や建物の隙間に生息するハクビシンを見かけることがあります。
結論:
都市部に暮らす野生動物たちは、都市環境での生活に適応するさまざまな行動や特性を持っています。彼らの存在は今や、都市の生態系の一部となっており、自然と人間が共存する環境の重要な要素の一つになっているのです。しかしながら、一方で都市部に暮らす動物たちは、交通事故や病気の問題などにもかかわってきます。適切な距離を保ち、彼らが自然の状態で生活できるよう努めることも重要かもしれません。(ネズミには衛生問題がついてまわりますが、病気を媒介するという意味でいえばどの動物にも可能性はあります)
都市部の野生動物は、自然と都市生活が交差する場所での生命の多様性と適応力の象徴と言えるでしょう。